東洋はり医学会 京都支部「骨切り」

東洋はり医学会 京都支部 「骨切り」

 皆さん、京都と言えば何を思い起こされるでしょうか。金閣寺?舞妓さん?祇園祭?数え上げれば切りがない程、京都の名物はあります。

 

 そして、その一つとして挙げられるものに鱧(ハモ)料理があります。この鱧、京都でよく獲れるかといえばそうではなく、運送手段が発達していなかった時代、海の遠い京の都では遠路はるばる運んできても元気な魚は鱧のみだった為、鱧料理が普及したのが由来とされてます。

 

 この鱧料理、京都の料亭で食べると結構なお値段がしますが鱧自体が高価な魚というわけではありません。

この鱧という魚は小骨が多く「骨切り」をしなければなりません。

この「骨切り」腹側から開いた身を皮を切らないように細かい切込みを入れて小骨を切断する技法ですが、これは難度が高く「一寸につき26筋」包丁を入れられれば一人前とされます。

この「骨切り」技術を持つ板前は貴重であり、鱧料理が京都で高価なのはこの技術料が大きいのです。

 

 しかし、昨今ではこの「骨切り」をしてくれる機械が出てきたとのことです。

高額な機械なのでまだまだ鱧料理は高級料理ですが、この機械が安価に生産できれば鱧料理もお手頃な値段で食べられる時代も遠くないでしょう。

 

 そして、板前が修業して一寸の間に刃を26筋入れられるようになるのと、開発者が研究をして一寸の間に26筋入れる機械を開発することは共に技術の進化といえます。

しかし、これら二つの進化は方向性が見方によっては真逆と言えます。

一つは修練を重ねることによって誰でも簡単にできない技術を身につけることであり、もう一つは逆に誰でも簡単にできる方法を考え出すことです。

 

 どちらの進化も人類に必要なものです。

それを踏まえた上で規制緩和のもと、大資本による一強多弱が各業界で見受けられる昨今の日本の状況を考慮してみると、鍼灸業界もその流れに影響を受けることは避けられません。

その時、我々鍼灸師はどのような技術で立ち向かっていくべきなのでしょうか。

 

京都支部 実技注釈

 取穴

 実技では、昨年から新しい試みとして、京都支部は、全員が晴眼者なので取穴をアイマスクをして行っています。実技では視覚に頼りすぎるきらいがあるので、このやり方により指頭感覚を養うだけでなく、真直ぐに立つこと、またそれにより力を抜くこと目的としています。

そして、本来は切経から取穴そして刺鍼が一動作なので、ゆくゆくは基本刺鍼でもアイマスクで行うことも考えています。

基本刺鍼